青春18切符考（その80）

平成25年もいつの間にか12月に入り、今年も残す所1カ月を切りました。
来年度、再来年度はそれぞれ北陸新幹線、東北新幹線（北海道新幹線）の延伸開業が予定されており、いよいよ青春18きっぷの運命も怪しくなってきたこの頃です。またそれに伴う寝台特急列車の廃止も取りざたされており、鉄道ファン、とくに旅情を楽しむ、いわゆる乗り鉄派の方々はますます旅の選択肢が狭められてまいります。

さて、とは言うものの、今シーズンも無事発売の運びとなった青春18きっぷ。その販売促進ポスター並びにチラシのイメージ写真の舞台に選ばれたのは、ＪＲ西日本管内の城端線城端駅です。
城端線は北陸本線の高岡駅から山間に向かって伸びる全長29.9ｋｍの盲腸線で、昭和47年までは途中の福野駅で加越能鉄道加越線とも接続していました。

春、夏、冬と年3回発売される青春18きっぷですが、切符自体の魅力はもちろん、この旅心誘われるポスターの写真もまた根強いファンが居ります。とりもなおさず、自分がその一人ですが、今回のこの写真は、冬のローカル線の魅力を表現するものとしては実に趣のある画だと思います。
じっと写真を見つめていると、列車のエンジン音すら、降り積もる雪に吸収されシーンと静まり返った終着駅の様子が想像できます。
そして、今回のキャッチコピーは、
　僕らが降りた終着駅は、誰かの旅の始発駅でもある。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　です。
そうすると、単純にキャッチコピーを信ずるならば、写真に写る青年はどこかの町から、この雪深い終着駅にちょうどやって来たところと言うことになりますが、さもありなん。信号や列車のライトの具合などをみると、キャッチコピーとは逆の風景。つまり終着駅ではなく始発駅の方になるのではないかと思われます。そう、写真に写る列車は今まさに終着駅に到着するところだと思われます。ならばホームにたたずむ青年は、これから城端駅をあとにし、いずこかへと向かう所なのでしょう。
ついでに、さらに余計な想像を膨らませるとして、写真のふたりは背の具合からすると男性二人旅に見えますが、若い男女とするならば、長い交際を経て、結婚が決まり、どちらかの両親に挨拶に来たのかなぁ、とか、或いは、駆け落ちとか・・。
まぁそんな想像はどうでもいい事ですが、「絵にかいたような冬の終着駅」と、そこを旅する若い二人。深い雪を乗り越えて幸せつかめ。などと、勝手に思うおじさんなのでした。
冬の城端駅。行ってみたくなりました。
しつこいようですが、今回のポスター、実に素敵な写真です。