青春１８切符考（その86）

１年に３回発売される青春１８きっぷですが、今年も１２月１日から無事発売となりました。
今回のポスターの舞台に選ばれた場所は、ＪＲ四国管内の土讃線坪尻駅です。
坪尻と言えば四国で２か所あるスイッチバック駅の一つで、当然周囲に人家の少ない山間に位置しています。
私も旅の途中何度か土讃線を通りましたが、当駅に下車するのは列車交換待ちのほんの数分のことですから当然、ポスターのような風景は眺めたことはありません。もしもこのポスターが契機となって、坪尻駅を訪ね同じ構図で駅舎や列車を眺めてみたら、まさにコピーにあるように「一生来なかったかもしれない場所に、いま来ています。」と誰か、家族や友人などに電話、いや今はＬＩＮＥなどで写真付きで送ってみたりすることでしょう。なかなか現在の行動パターンにあったコピーだということができます。
それと時間。昨年から謎の時間シリーズが続いておりますが今回もまたそれを踏襲することになりました。かくしてその時間は「１４時５５分」早速時刻表をひも解いてみますと、次のような風景が見えてきます。

ちょうどこのころ、多度津発阿波池田行の普通列車が、ゆっくりとエンジン音を唸らせながら坪尻駅にやってきました。いったん引き揚げ線に入った列車はバックで坪尻駅に到着。そこで待つこと数分、今度はその傍らを阿波池田発琴平行の普通列車が当駅には止まることなく通過。それを見送ると何事もなかったように阿波池田に向けて発車。駅を後にする。
と、そこでパシャリと１枚。というのがこのポスターに描かれている風景の物語です。

とまぁ、今回は珍しく、紙芝居のごとくポスターから物語が感じられる構図ではありますが、駅張り大型ポスターはさておき、私が長年収集しているＡ4サイズの販促チラシは、ほんとにほんとに希少品となってしまいました。
今回、私は来年の春、北海道新幹線の函館北斗延伸に伴い廃止される津軽海峡線の特急列車や我が国最後の定期夜行急行客車列車のはまなす号の惜別乗車のため、金曜の夜に東京駅を立ち、日曜の夜に戻ってくる１泊１車中泊の弾丸旅行に行ってきたのですが、その間偶然、とある駅で入手したのがこのチラシで、その他にも東北地方のある駅のホームの待合室に置いてあるのを特急列車の窓から確認したに過ぎず、きわめてその入手は困難になってまいりました。しかしながら入手できる限り当欄での紹介を続けていきたいと思っております。